BtoCとは違ってBtoBでは有効なチャネルが少なく、郵送によるDMやFAXによるDM、展示会、業界紙への広告出稿などしかプロモーション手段がありませんでした。
しかし、この10年ほどでインターネットが生活の中にまで入り込んで普及したことで、ほぼすべてのビジネスパーソンがスマホを1人1台持ち、検索エンジンやSNSで情報を得ることが当たり前になりました。
加えて、コロナによりリモートでの働き方が進み、10年かかると言われたBtoBマーケティングが、今大きく変化しています。その変化に対応するBtoBマーケティングについて学ぶことができます。
この記事でわかること
- 「テレワーク」でBtoBマーケティングのデジタル化が加速
- BtoB営業・マーケテイング・プロセスのオンライン化に必要なこと
- BtoB営業・マーケティングプロセスのオンライン化のためのToDoリスト
なぜ、BtoBマーケティングが重要になっているのか
インターネットの登場以降、顧客行動は大きく変わった。
見込み客の情報の取得先が、企業の営業パーソンからWEBサイトへと移り変わっている。下記のグラフでは、BtoB市場における情報源として「企業のWebサイト」が1位になっています。
BtoBの商取引においても、Webサイトなどのオンラインチャネルの重要性が増していることが伺えます。
また、次のグラフは購買プロセスの57%が、営業パーソンに会う前にすでに終わっているという事実が明らかになっています。
つまり、顧客が自ら行うベンダー選定の段階で選ばれなければ、営業パーソンは声すらかけてもらえず、課題解決の方法は、今や営業パーソンではなく、顧客自らが決めています。
しかし、一方でSNS広告、ウェビナー、タクシー広告、デジタルサイネージなど顧客との「タッチポイント」は以前より増え続けており、このような新しいタッチポイントの創出が、従来まで売上をつくる主役であった営業パーソンの地位を、マーケターが奪いつつあります。
このように、インターネットの登場以降の世の中の流れは、ウィズコロナ〜アフターコロナにかけて、さらに加速されて、今後もデジタルやマーケティングの重要度は高まっていくと考えられています。
「テレワーク」でBtoBマーケティングのデジタル化が加速
上記の記述したウィズコロナ〜アフターコロナにかけて、大企業では対面での打ち合わせが不可になり、展示会やセミナーなどのオフラインでの活動が使えなくなっています。
そういったウィズコロナに対応するため、東京圏の大企業のホワイトカラーを中心に、各社ともテレワークを推進してきており、この流れは変わることはないと思われます。
その結果、BtoBマーケティングにおいても、各プロセスに下記のような大きな変化がありました。
このような変化の結果、以下のようなことが起こると予想されます。
影響1:新規リードの減少
- 担当者が出社していないのでテレアポがつながらない
- 郵送 DMやFAX DMが出社していないので開封されない
- 展示会やセミナーが開催できない。
といった、出社や外出を前提とした、企業に対するリード獲得活動ができない。
影響2:商談率の低下
- リードを獲得したとしてもアポ電がつながらない。
- 電話等でのヒアリングができない
- そもそもリアルでの商談ができない
- メールだと開封率が低く返信がない
など商談率が下がっている。
影響3:受注までのリードタイムの長期化
訪問による営業ができないため、クロージングができなくなり、リードタイムが長期化しています。
影響4:営業部門のマネジメント難易度の上昇
営業メンバーの育成をリモートで行わないといけないため、上司が戸惑う企業が続出しています。
BtoB営業・マーケティング・プロセスのオンライン化に必要なこと
これまで述べてきたように、コロナ禍では顧客の購買プロセスが、8-90%は営業担当に会う前に終る時代になります。そうなれば、BtoBマーケティング・営業プロセスのすべてを、いかにデジタル化・オンライン化をスムーズに実現できるのか、が重要になってきます。そこで、オンライン化に必要な施策一覧をまとめました。
論点と対策1:オンライン中心にして、リアルな展示会やセミナーに匹敵するほどリード(見込み客)を獲得できるのか?
この点に関しては、施策にきちんとした予算や社内リソースをシフトすれば十分に代替可能です。SEOや検索広告、facebook広告などでは特にホワイトペーパーダウンロードなどでのリード獲得が盛んに行われています。
またコロナ禍でオンラインセミナーも一般化しており、セミナー会場などを押さえなくて良い、定員を気にしなくて良いオンラインセミナーは、手軽に始めることができる施策の1つです。
論点と対策2:デジタル広告やオンラインセミナーで獲得したリードの商談化率は高いのか?
電話ができないため、メールでのコミュニケーションとなると、商談化率は下がる傾向にあります。そこで対策としては、
- 従来よりも新規リードを多めに獲得する
- 商談化を急がずに、メールやオンラインセミナー、個別相談会などで接点を作り、商談までの熱を高める
ということがあります。オンラインでの施策は、予算と手間をかければリードの量を増やすことは難しくありません。ただ、そうなると手間が増えるので、マーケティング・オートメーション(MA)などを導入し、自動的にリードをフォローできる体制を作りましょう。
論点と対策3:オンライン営業でクロージングできるのか?
この点はなかなか難しく、特に高額商材や無形商材の場合には、影響が大きい。考えられる対策として
- ウェブ上に営業を補助するコンテンツを事前に公開しておくことでリードタイムを短縮する
- オンライン営業のスキルを磨く
公開しておくコンテンツは、「4つの不」を解消できるコンテンツを公開すると良いでしょう。
論点と対策4:リモート環境になり、営業部門のマネジメントの難易度が上がったが、どうすればいいのか?
これまではオフィスで机を並べて、横にいればある程度の情報がわかりましたが、今後はできないでしょう。そのため以下のようなオンライン化、デジタル化を図る必要があります。
- SFAツールを導入し、商談履歴をオンラインで共有
- ベルフェイスのようなオンライン商談ツールや、MiiTelのような架電ツールを活用し、リモートで上司がフィードバック
- ハイパフォーマーの営業トークを録画し、チーム内で共有
営業活動を、KKD(勘と経験と度胸)ではなく、データで判断する「データドリブン」なスタイルに変更していきましょう。
BtoB営業・マーケティングプロセスのオンライン化のためのToDoリスト
リード獲得プロセスのオンライン化・デジタル化に必要なToDoリスト
- SEO
- 検索広告の出稿
- ディスプレイ広告の出稿
- SNS広告の出稿
- SNSの活用
- 記事や動画コンテンツの作成
- ホワイトペーパーの作成
- オンラインセミナーやオンラインカンファレンスの開催
- WEBサイトの改善
- ランディングページの作成/改善
- 外部メディアへの出稿
- フォームDMの送付
- プレスリリースの発信
リード育成プロセスのオンライン化・デジタル化に必要なToDoリスト
- メールマーケティングの強化
- オンラインセミナー/勉強会の開催
- マーケティングオートメーションの活用
- マーケティングオートメーションによるシナリオメールの活用
- リード育成コンテンツの作成
営業・受注プロセスのオンライン化・デジタル化に必要なToDoリスト
- WEB商談ツールの導入
- 営業資料/パンフレットの見直し
- サービス説明資料/プレゼンテーション動画の作成
- SFAツールの導入/活用強化
- 電子契約サービスの導入
- ロープレ動画、営業ノウハウ動画の共有
- 営業トークの見直し
出典:
栗原 康太『事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践』すばる舎(2020)