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無料版でも使える!ChatGPTの Chatgpt Custom instructions(カスタムインストラクション) を活用する

ChatGPTは、高度な自然言語処理技術を活用して、人間のような文章を生成することができるAIです。2023年7月、このChatGPTの有料版に「 Chatgpt Custom instructions (以下、カスタムインストラクション)」という機能が追加されました。さらに2023年8月には無料ユーザーも使用できるようになっています。

カスタムインストラクションを活用することで、より具体的な指示に基づいた文章生成が可能となり、ビジネスの現場での利用範囲がさらに広がることが期待できます。この記事では、ChatGPTのカスタムインストラクションとは何か、ビジネスでの活用方法について解説していきます。

Custom instructions are now available to free users (August 9, 2023)Custom instructions are now available to ChatGPT users on the free plan, except for in the EU & UK where we will be rolling it out soon!Customize your interactions with ChatGPT by providing specific details and guidelines for your chats.
(カスタムインストラクションが無料ユーザーに利用可能になりました(2023年8月9日)。カスタムインストラクションは、EUとUKを除く、無料プランのChatGPTユーザーに利用できます。近日中にEUとUKでも展開予定です。ChatGPTとの対話をカスタマイズするために、チャットの詳細やガイドラインを具体的に提供してください。)
https://help.openai.com/en/articles/6825453-chatgpt-release-notes#h_88eefa0552


ChatGPTとは

近年、AI技術が急速に進化しています。特に、生成系AIはその高度な能力で多くの企業や専門家から注目を集めています。

ChatGPTの基本概要

ChatGPTは、OpenAIが開発した生成系AIの一つです。このAIは、大量のテキストデータを学習することで、人間のような文章を生成することができます。ユーザーからの質問や指示に対して、適切な回答や文章を自動で生成することができるので、カスタマーサポートやFAQの自動応答、コンテンツの生成など、さまざまな場面での活用が考えられます。

ChatGPTの主なメリット

ChatGPTの最大のメリットは、その高度な自然言語処理能力にあります。従来のチャットボットやAIとは異なり、ChatGPTはユーザーの質問や要望をより深く理解し、適切な回答を生成することができます。

これまで人の手で考えられてきたことや作成されてきた文章がChatGPTが代わりに生成させることがきます。さらにデータやプロンプトに応じて、精度は向上します。

ChatGPTを活用することで、企業やサービス提供者は、質の高いカスタマーサポートやコンテンツ生成を、素早く実現することができます。

ChatGPTの機能「カスタムインストラクション」

2023年7月、ChatGPTに「カスタムインストラクション」という新機能が追加されました。この機能は、ユーザーが具体的な指示や要望を前もって設定できるものです。一度設定すれば、その指示に基づいてChatGPTが文章やデータを生成します。

例として、特定の業界の情報を取得したい時や、決まったフォーマットでの文章生成を求める場合など、ユーザーが希望する内容に合わせてChatGPTが回答を提供することができるようになりました。これにより、ユーザーとのコミュニケーションがより効率的になることが期待されています。

カスタムインストラクションとは

「カスタムインストラクション」は、無料ユーザーでも使用できるようになっているため、ChatGPTの利用の幅がさらに拡大したといえます。では、カスタムインストラクションが具体的にどのようなものなのかを見ていきましょう。

カスタムインストラクションの設定方法

設定方法は、ChatGPTへの登録を行った後、カスタムインストラクションを有効にした後、必要な指示を登録することで、指定した内容に従った文章を生成することができます。

「カスタムインストラクション」の設定については、次のように記載します

What would you like ChatGPT to know about you to provide better responses

ここには、ChatGPTがあなたについて知っておくべき情報を記載します。例えば、あなたの専門知識、興味、好みなどです。これにより、ChatGPTはあなたのニーズに合わせたよりパーソナライズされた応答を生成することができます。
(フィールド入力①:事前情報の記入。)

How would you like ChatGPT to respond

ここには、ChatGPTの応答のスタイルやトーンを指定します。例えば、フォーマルなトーンで応答するよう指示したり、特定の視点から応答するよう指示したりすることができます。
(フィールド入力②:出力情報の記入)

設定方法

  1. 「Custom instructions」をクリック
  2. フィールド入力①:事前情報の記入 対話で考慮すべき設定や条件を記載します。
  3. フィールド入力②:出力情報の記入 どのような回答を得たいか、出力形式を記入します。
  4. Saveボタンをクリック

「Custom instructions」をクリックして、フィールドに入力する。

入力が終わったらSaveボタンをクリック

参照:https://help.openai.com/en/articles/8096356-custom-instructions-for-chatgpt

カスタムインストラクションのメリット

カスタムインストラクションの導入により、ChatGPTの利用における多くのメリットがあります。

まず、作業時間の短縮が挙げられます。従来の方法では、ユーザーが求める回答を得るためには複数回のやり取りが必要でしたが、カスタムインストラクションを使用することで、一度の指示で的確な回答を得ることができます。

ふたつ目は、トークン数の節約も大きなメリットです。ChatGPTの使用にはトークン数の制限がありますが、カスタムインストラクションを活用することで、必要な情報を効率的に取得することができます。

そして、意図に合わせた回答が得られる点も大きなメリットです。例えば、「東京のことならなんでも知っている東京マニア」と設定した後、「関西から引っ越します。どのエリアに住むのがおすすめでしょうか?」というプロンプトに対して、「関西から東京への引越しを考えている場合、おすすめのエリアは以下の通りです。(~~続く)」という具体的な回答を得ることができます。

カスタムインストラクションの応用例

カスタムインストラクションの活用範囲は広いです。

地域情報の提供は、特定の地域に関する天気、イベント、観光スポットなどの情報を自動生成することができます。これにより、地域特有のマーケティングやプロモーション活動を効果的に行うことができます。

また、製品サポートの自動化では、顧客からの問い合わせに対して、カスタムインストラクションを活用して迅速かつ正確な回答を提供することができます。これにより、サポート業務の効率化や顧客満足度の向上が期待されます。

教育的な対話のカスタマイズを行うことで、特定のトピックに関する詳しい情報提供や、学習者の理解度に合わせた対話が可能となります。

使用例:地域に基づく情報提供

地域の情報を知りたいときや、旅行の計画を立てる際に、カスタムインストラクションが非常に役立ちます。

特定の都市や地域を指定することで、その場所の気候、行事、観光スポットなどの情報を取得することができます。この機能の利点は、地域特有の情報を瞬時に提供できることで、ターゲットに合わせたサービスが実現されます。

カスタムインストラクション

回答

使用例:製品サポートの自動化

カスタムインストラクションは、ビジネスの現場でも大きな効果を発揮します。

例えば、製品の型番を指定して、関連するサポート情報を一括で取得することが可能です。事前に製品のカテゴリーや型番を指定することで、製品のサポート情報やトラブルシューティングの手順などを瞬時に取得できます。

この機能を上手に活用することで、カスタマーサポートが効率的に行えるようになるでしょう。

カスタムインストラクション

回答

使用例:教育的な対話にカスタマイズ

カスタムインストラクションは、ビジネスのコーチングや研修、リスキリングの視点でも有効に活用できます。各従業員のスキルレベルや学習目標を設定することで、個別の学習プランを作成し、特定のトピックやスキルに関する教材を生成します。

これにより、従業員が必要なスキルを効率的に学習することができます。さらに、従業員の理解度を確認するための模擬テストを作成し、その結果に基づいてフィードバックを提供することも可能です。

ただし、ChatGPT自体はリアルタイムのデータにアクセスする能力はありませんので、最新の情報を提供することはできません。そのため、リアルタイムの情報については、適切な情報源を直接参照する必要があります。

カスタムインストラクション

回答

参照:Hakky Handbook https://book.st-hakky.com/docs/chatgpt-custom-instructions/

上記3つの使用例は、いずれもGTP-3.5の回答例です。無料版をお使いの場合でも、カスタムインストラクションを上手に活用すれば、使い勝手が大幅に向上すると思います。ぜひ活用ください。

カスタムインストラクションを活用して差別化を図る

「カスタムインストラクション」をより効果的に活用するために、SNSなどで、さまざまな設定内容やツールが紹介されています。

18-in-1 custom instruction

「18-in-1 custom instruction」とは、AIの振る舞いや回答をカスタマイズするための指示内容をまとめたものです。この指示は、AI研究者のAlvaro Cintas氏によって提唱されました。Cintas氏はAI分野での深い知識と経験を持つ研究者として知られ、彼の考えるAIの最適な利用方法を示す一つの指標としてこのプロンプトが生まれました。

これを使うことで、ユーザーはAIとのコミュニケーションをより柔軟かつ効果的に行うことが可能となります。


  • Provide accurate and factual answers
  • Provide detailed explanations
  • Be highly organized
  • You are an expert on all subject matters
  • No need to disclose you are an AI, e.g., do not answer with “As a large language model…” or “As an artificial intelligence…”
  • Don’t mention your knowledge cutoff
  • When asked to code, just provide me the code
  • Be excellent at reasoning
  • When reasoning, perform a step-by-step thinking before you answer the question
  • Provide analogies to simplify complex topics
  • If you speculate or predict something, inform me
  • If you cite sources, ensure they exist and include URLs at the end
  • Maintain neutrality in sensitive topics
  • Explore also out-of-the-box ideas
  • Only discuss safety when it’s vital and not clear
  • Summarize key takeaways at the end of detailed explanations
  • Offer both pros and cons when discussing solutions or opinions
  • If the quality of your response has decreased significantly due to my custom instructions, please explain the issue

これらの指示を適用することで、AIはより的確でわかりやすい回答をユーザーに提供することができるようになります。特に、ユーザーが明確な目的を持ってAIを利用する場合や、特定の情報を得たい場合などに役立ちます。

Jeremy式汎用プロンプト

次に、AIカンパニー創業者のJeremy Howard氏が書いたプロンプトです。

このプロンプトは、ただ回答を得るだけでなく、その答えがなぜそうなったのか、背後にある考え方や前提条件も明確にしてくれる点が魅力です。ユーザー側が感じた疑問点や不明確な部分について、具体的なフィードバックや変更要望を簡単に伝えることができます。

元が英語の指示文であるため少しハードルが高いかもしれませんが、指示を日本語で行えば、日本語で回答されると思いますので対話もスムーズに行えます。


You are an autoregressive language model that has been fine-tuned with instruction-tuning and RLHF. You carefully provide accurate, factual, thoughtful, nuanced answers, and are brilliant at reasoning. If you think there might not be a correct answer, you say so. Since you are autoregressive, each token you produce is another opportunity to use computation, therefore you always spend a few sentences explaining background context, assumptions, and step-by-step thinking BEFORE you try to answer a question. Your users are experts in AI and ethics, so they already know you’re a language model and your capabilities and limitations, so don’t remind them of that. They’re familiar with ethical issues in general so you don’t need to remind them about those either. Don’t be verbose in your answers, but do provide details and examples where it might help the explanation. When showing Python code, minimise vertical space, and do not include comments or docstrings; you do not need to follow PEP8, since your users’ organizations do not do so.


これらプロンプトを用いることで、ユーザーとChatGPTとの間に生じる認識のギャップや誤解を最小限に抑え、質の高いコミュニケーションが実現できます。

ChatGPT Custom Instructions Managerを使ってみよう

ChatGPTのカスタムインストラクションをより効率的に管理するための「ChatGPT Custom Instructions Manager」というChrome拡張機能を紹介します。この拡張機能を利用することで、カスタムインストラクションの保存や編集、削除が簡単に行えます。また、セレクトボックスでの簡単な切り替えも可能です。この拡張機能を使うことで、ChatGPTをさらに有効に活用できるようになるでしょう。

以下に、「ChatGPT Custom Instructions Manager」の使用方法を紹介します。

1:拡張機能を追加後、「ChatGPT Custom Instructions Manager」を立ち上げる

2:各項目を入力する

3:「Save」をクリックして設定を登録する

4:カスタムインストラクションを立ち上げる

5:設定したプロンプトを選択して「Save」ボタンをクリック。(カスタムインストラクションの設定変更が完了する)

カスタムインストラクションの活用は、ビジネスの現場での効率化や差別化を図る上で非常に有効です。最新の技術を取り入れ、競争力を高めるためにも、積極的な導入と活用を検討してみてはいかがでしょうか。

営業DXと生成系AIの融合

DX(デジタルトランスフォーメーション)により、企業の営業活動は日々変化しています。情報のスピードは早く、何事も複雑化してきている今、生成系AIの力は否応なく注目されるようになりました。特に、ChatGPTは、営業の現場での多様な要求や問題への解決手段として期待されています。

営業プロセスの進化

企業が競争力を維持・拡大するためには、単に営業の効率を追求するだけでは不十分です。必要なのは、顧客の真のニーズを捉え、それを満たすための施策です。ChatGPTのカスタムインストラクションの活用は、こうした課題解決に貢献できるでしょう。

例えば、製品やサービスに関する基本情報、特長、価格、利用方法などをカスタムインストラクションに設定することで、一貫した情報提供を実現します。これにより、営業担当者の作業負荷を軽減し、より顧客中心の営業活動を行うことができます。

営業提案の質向上

顧客のニーズに応じて適切な営業提案を行うことは、商談の成立には欠かせません。カスタムインストラクションを用いることで、次のように顧客情報を基盤にした提案資料を効率的に作成することが可能です。

  1. 顧客の購入履歴や関心を取り入れ、それに関連する製品やサービス情報を登録。
  2. これらの情報をカスタムインストラクションと組み合わせ、提案内容を生成。
  3. 生成された内容を営業担当者が確認・編集し、最終的な提案資料を完成させる。

AIによる資料作成を活用すれば瞬時に資料が完成します。修正が必要ですが、叩き台としては十分でしょう。AIによる資料作成については、また別の記事で紹介したいと思います。

社員トレーニングへの導入

使用例でも紹介しましたが、カスタムインストラクションは、新入社員のトレーニングにも効果的に利用できます。実際の営業シーンをシミュレーションした教材の作成やスキルレベル、学習目標に基づいた個別の学習プランを立案することができます。

従業員の理解度を確認する模擬テストも提供可能です。このように、新入社員は営業活動に関連したスキルを短期間で、しかし深く習得することが期待できます。ただし、ChatGPTはリアルタイムの情報提供が困難なため、最新の情報かどうか注意が必要です。

まとめ

この記事では、ChatGPTのカスタムインストラクション機能とその活用方法を紹介しました。この機能を使用することで、AIとのコミュニケーションがより効率的かつ意図通りに行えるようになります。

例として紹介したように、地域情報の提供、製品サポートの自動化、教育現場での活用などが挙げられます。さらに、SNSなどで共有されるプロンプトやChatGPT Custom Instructions Managerは、ChatGPTの利用の幅をさらに広げる要素となっています。

ChatGPTはグローバル標準へと進化しており、その機能をフルに活用することで、ビジネスの競争力を向上させる道筋が見えてきます。

村中 督史

村中 督史

BtoBマーケティング・デジタルマーケティング領域を中心としたWEB制作/コンテンツ企画などマーケティング活動をサポート。デザイン企画会社を経て人や企業のコミュニケーション活動を軸に、働き方をテーマにワクワクできるチーム作りに取り組む。これからの働き方を考える【オモシゴジャーナル】を運営。

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