マーケティング

BtoBマーケティングの戦略と実践(4)〜プロジェクトの進め方 〜

BtoCとは違ってBtoBでは有効なチャネルが少なく、郵送によるDMやFAXによるDM、展示会、業界紙への広告出稿などしかプロモーション手段がありませんでした。

しかし、この10年ほどでインターネットが生活の中にまで入り込んで普及したことで、ほぼすべてのビジネスパーソンがスマホを1人1台持ち、検索エンジンやSNSで情報を得ることが当たり前になりました。

加えて、コロナによりリモートでの働き方が進み、10年かかると言われたBtoBマーケティングが、今大きく変化しています。その変化に対応するBtoBマーケティングについて学ぶことができます。

STEP1:経営課題・戦略課題に沿ってマーケテイング活動の目的・目標を設定する

経営課題や経営戦略から逆算して、マーケティング活動の目的・目標を定めることが必要です。直面する経営課題を解決することで経営陣や現場からの強いコミットメントを得る必要があります。

ポイント:経営課題、経営戦略からプロジェクトの目的・目標を設定する/経営陣のコミットメントを得る

STEP2:顧客への解像度が高いメンバーをチームに入れる

この過程では意思決定者はもちろん、「顧客への解像度がたかい」メンバーにチームに加わってもらうことが欠かせません。

ここでいう「顧客への解像度」とは、顧客に対する理解の精緻さのことです。

  • 顧客が何を考えているのか
  • どんなことが関心ごとなのか
  • 日頃、どんな形で情報収集をおこなっているのか

を正確に理解している人です。

BtoBの場合、商談で顧客と接している営業パーソン、電話やメールで顧客とのやり取りし、ニーズを把握しているインサイドセールス担当者などが高い場合が多い。

ポイント:顧客への解像度が高いメンバーに参加してもらう

STEP3:代表的な顧客をリストアップし、購買プロセスを把握する

マーケティング戦略の基本は「誰に、何を、どのように伝えるか」です。実際に商品を買ってくれている顧客をベースに議論することで、手触り感を持ってターゲット顧客を理解します。

ポイント:自社が顧客に選ばれている理由を把握する

STEP4:自他の現状とボトルネックを把握し、勝ち筋を見つける

ターゲット顧客の購買プロセスを把握できると、自社のマーケティング活動の中で「できていること」「できていないこと」も明確になります。さらに、競合との比較分析も行います。

例では、明確層、潜在層いずれの見込み客に対しても、施策が充実していることがわかりました。また逆に、潜在層向けには手薄であることが判明し、ここにマーケティング戦略上の勝機があると分析しました。

ポイント:一番の課題で、かつ改善するとインパクトが大きい箇所(ボトルネック)を特定する/発見したボトルネックに対して、リソースを集中投下する

STEP5:短期施策と中長期施策に並行して取り組む

短期施策だけでなく、中長期の施策にも並行して取り組むことです。短期でPDCA(Plan-Do-Check-Action)を回し、結果を出しに行く施策と、1−2年の時間軸で取り組んでいく中長期の施策の両方に並行して取り組むと、切れ目なく改善効果を発揮することができます。

結果がでるのが1年後、2年後になる中長期施策を中心にしてしまうと、プロジェクトにはずみがつかず、途中でマーケティング投資が打ち切られてしまう危険性があります。

ポイント:短期と中長期のほどよいバランスを取る。マーケティングプロジェクトの立ち上げ初期であれば、情報を得るための打ち手を多めにする

STEP6:定例会議で進捗を確認し、追加施策を検討する

KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)やKPIを設定して因数分解したレポートを作成し、それをもとにして月次や隔週でマーケティング定例会議を開催することが何よりも重要になります。

サイトの訪問数やCV数、商談数、受注数などの推移を置いながらそれぞれが目標に達しているか、どこがネックになっているのかを確認します。

ポイント:隔週〜月次の頻度で定例会議を行い、KGIやKPIの推移をリアルタイムで把握/必要な追加施策を素早く行う

 

実行力の高いチームを作ることが肝

専任のメンバーを複数任命してもらい、マーケターも兼務ではなく、最低1名は専任で確保することが望ましい。社内にBtoBマーケティングの知見がないと、戦略や計画の精度が低くなって時間とお金を無駄にしてしまいます。

 

 

これは意思決定者と専任マーケター、外部の専門家パートナーがチームを組んで、プロジェクトを進める方法です。上記の3者が三位一体になったときこそ、精度の高いマーケティング活動をスピード感を持って推進できます。

出典:
栗原 康太『事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践』すばる舎(2020)

 

芝先 恵介

芝先 恵介

外資系業務ソフト会社より、仲間4人とともに2002年独立し代表就任。ウェブのシステム開発、広告代理店を始める。2013年同社を売却。 2014年からフリーランスでスタートアップ、大企業の新規事業立ち上げ支援を開始。2016年に訪日外国人×地方創生を行う株式会社トラベルテックラボを大学院の仲間と設立。その他、大学等のマーケティング・経営戦略の非常勤講師や、公益財団法人大阪産業局 あきない経営サポーター、DXアドバイザー、独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業アドバイザー、エンジェル投資家など

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