マーケティングオートメーションツールの普及により、メールマーケティングはビジネスパーソンにとって身近な言葉になっています。しかし、その本来の役割を理解している人は意外と少ないのかもしれません。
メールマーケティングは、自社の商品やサービスを潜在的な顧客にアプローチするためのひとつの手法であり、低コストで効果的な手段として注目を集めています。しかし、スタートアップや中小企業などの人材不足に悩む企業では、実践することが難しいと感じることもあります。
そこでこの記事では、メールマーケティングを手軽に取り入れるための方法や注意点について解説します。顧客ロイヤルティを向上させるための有用な手法を知り、ビジネスの成長につなげましょう。
メールマーケティングとは?
インターネットが普及した現代社会において、多くの企業がメールマーケティングを取り入れています。メールマーケティングとは、企業が自社の商品やサービスを顧客にアプローチするためのマーケティング手法のひとつであり、顧客に対して電子メールを送信することで、自社の商品やサービスをアピールする手法です。
メールマーケティングの概要
メールマーケティングは、インターネットや携帯電話の普及に伴い、ますます重要性が高まっているマーケティング手法の一つです。以下に主な特徴をあげてみましょう。
メールの利用率が非常に高い
チャットの利用が普及していますが、メールもまだ一般的なコミュニケーション手段のひとつとして利用されています。ビジネスシーンにおいても、取引先や顧客とのやり取りにメールを利用することが多くなっています。そのため、メールマーケティングは多くの人々にアプローチするための効果的な手段として注目されています。
顧客との関係性を継続できる
メールマーケティングでは、顧客と良好な関係を継続的に築くことができます。定期的にニュースレターやプロモーションメールを送付することで、顧客とのコミュニケーションを維持し、関心を持ってもらえる商品やサービスの提供につながります。
リードナーチャリングにつなげられる
メールマーケティングは、リードナーチャリング(見込み客を育成する)にも役立ちます。リストに登録された見込み客に対して、興味を持ってもらえる情報や情報を提供することで、関心を持ってもらえるようになり、将来的な顧客化につなげることができます。
コロナ禍によって重要性が再認識されている
新型コロナウイルスの流行により、オフラインでの販促活動が制限される中、オンラインでのマーケティングが重要視されるようになりました。なかでも、メールマーケティングは、顧客とのコミュニケーションを取りやすく、多くの企業に利用されています。
メールマーケティングのメリット
メールマーケティングのメリットは、以下のようなものがあります。
顧客との信頼関係を築きやすい
メールは個人的なコミュニケーションツールであるため、顧客との信頼関係を築きやすく、ブランドの認知度向上につながります。
効果的なメッセージを届けやすい
メールはターゲットに合わせてセグメントやパーソナライズが可能であるため、ターゲットに対して効果的なメッセージを届けることができます。
コスト効率が高い
メールは配信コストが低く、一度作成すれば何度でも配信できるため、コスト効率が高くなります。また、効果測定も容易であるため、ROIが高いとされています。
迅速な情報伝達ができる
メールは迅速かつ正確な情報伝達ができるため、プロモーションやイベントなどの情報を効果的に伝えることができます。
メールマーケティングのデメリット
一方、メールマーケティングのデメリットは、以下のようなものがあります。
スパムや迷惑メールと誤認される場合がある
メールはスパムや迷惑メールと誤認され、開封率やクリック率が低下する場合があります。そのため、メールの配信先を厳密に管理する必要があります。
人的コストがかかる場合がある
メールの作成や配信、配信リストの管理に人的コストがかかる場合があります。特に、配信先を細かくセグメントした場合は、作業量が増加することもあります。
法律や規制に違反しないように注意が必要
メールマーケティングは法律や規制に違反しないように注意する必要があります。例えば、日本では迷惑メールの防止や特定商取引法、個人情報保護などに関する規制もあります。
効果が得られるまでに時間がかかる場合がある
メールマーケティングでは、効果が得られるまでにある程度の時間がかかると想定されます。特に、新規顧客獲得には、配信リストの充実や信頼関係の構築に時間がかかることがあります。
メールマーケティングで顧客ロイヤルティを向上させる方法
お伝えしている通りメールマーケティングは、顧客との関係性を築くために有効な手段です。ここでは、ニュースレター、フォローアップメール、プロモーションメール、アンケートメールなど、メールマーケティングでよく使われる手法について解説していきます。
ニュースレターの作成
ニュースレターは、定期的に送られる情報誌のようなものです。最新の情報や新商品の情報、企業のニュースなどを掲載して、読者の興味を引くことができます。ニュースレターは、定期的に配信されるため、読者とのコミュニケーションを継続することができます。ニュースレターの作成には、興味を引く記事の選定、見出しの工夫、配信タイミングの設定などが重要です。
フォローアップメールの作成
フォローアップメールは、購入後の顧客へのメールです。顧客が購入した商品やサービスに関する情報を提供するだけでなく、フォローアップメールを通じて、顧客との関係性を深めることができます。フォローアップメールの作成には、購入した商品やサービスに関する情報、関連商品の情報、顧客への特別な割引情報などを盛り込むことが重要です。
プロモーションメールの作成
プロモーションメールは、セールやイベントの告知など、特定の目的を持ったメールです。プロモーションメールは、商品やサービスの販促に有効な手段です。プロモーションメールの作成には、セールやイベントの情報、割引情報、キャンペーン情報などを盛り込むことが重要です。また、配信タイミングやターゲットを決定することも重要です。
アンケートメールの作成
アンケートメールは、顧客のニーズや満足度を調査するためのメールです。アンケート内容の設計や質問項目の作成、回答期限の設定などが重要です。また、回答率を上げるためには、回答の意義や報酬などを明示することも有効です。アンケート結果を踏まえた改善点の提案や、回答者に対する感謝のメッセージを送ることで、顧客との関係性を深めることができます。
メールマーケティングの手順
メールマーケティングの手順には、メールのテンプレート作成や配信リストの選定、セグメンテーションなどが含まれます。ここでは、具体的なメールマーケティングの実施手順や配信手順、成果測定方法などを紹介します。メールマーケティングの手順を理解し、効果的なメールマーケティングを実現しましょう。
目的・目標設定
メールマーケティングを行う前に、まずは目的・目標を明確にすることが重要です。例えば、商品やサービスの販売促進、顧客リストの拡大、情報提供などがあげられます。目的・目標を設定することで、メールマーケティングの成果を評価する基準が明確になり、効果的なキャンペーンを作成できるでしょう。
メールアドレス獲得、配信リストの作成
メールマーケティングの第一歩は、顧客のメールアドレスを収集することです。例えば、サイト内におけるメルマガ登録フォーム、イベントなどでの名刺交換などがあります。メールアドレスを収集したら、その情報を基に、配信リストを作成します。配信リストには、収集したメールアドレスの他、配信希望者の属性や興味関心に応じた情報を含めることができます。
セグメンテーション
配信リストを作成したら、収集した情報をもとに、リストを細分化していきます。このプロセスをセグメンテーションと呼びます。例えば、購入履歴や属性情報に応じて、顧客をセグメントに分け、ターゲットに合わせたメールを配信できるようになります。セグメンテーションによって、よりターゲットに合わせたメールを作成することができ、配信効果を高めることができます。
メール作成
メール作成は、配信する目的や目標に基づいて作成します。メールのタイトルや本文、コール・トゥ・アクションの設定、画像やリンクの挿入、メール配信時の注意点などはおさえておきましょう。タイトルは、興味を引くものや直接的なアプローチをするものが効果的です。また、本文は読みやすく簡潔にまとめ、明確な目的や提供する価値を伝えるように心掛けましょう。コール・トゥ・アクションは、受信者に明確な行動を促すものとして、メールの目的達成に欠かせません。画像やリンクの挿入は、メールの魅力を高めたり、受信者を特定のウェブページに誘導するために有効です。
メール配信
メール配信は、配信リストの選定や配信タイミング、テスト配信などが重要なポイントです。配信リストは、ターゲット顧客に合わせて適切なセグメンテーションを行い、メールの配信先を決定します。配信タイミングは、受信者がメールを開封しやすい時間帯や曜日を考慮し、配信スケジュールを設定しましょう。テスト配信は、配信前にメールのレイアウトや文言の確認を行うために必須です。
効果測定および検証、改善
効果測定は、メールマーケティングの成果を評価するために必要です。主な指標として、配信率、開封率、クリック率、反応率、収益率などがあります。これらの指標を分析し、改善点を洗い出しましょう。改善点としては、配信リストの改善、タイトルや本文の改善、配信タイミングの改善、コール・トゥ・アクションの改善などが考えられます。改善点を取り入れテスト配信を行い、効果測定を繰り返して改善を進めましょう。
メールマーケティングに効果的なコンテンツ
メールマーケティングにおいて、効果的なコンテンツを提供することは、顧客ロイヤルティを向上させるために不可欠です。顧客にとって魅力的なコンテンツを提供することで、商品やサービスへの興味を高め、顧客との関係を強化することができます。
事例インタビュー
自社商品を購入・導入した企業にインタビューを行い、第三者から自社商品の優位性を語ってもらうことで、商品の信頼性や実績を訴求できます。他社での事例を通じて、商品の使い方や活用方法などを知ることができ、顧客にとっても有用な情報となります。
FAQコンテンツ
顧客からよくある質問や懸念事項に対して、自社商品の解決策を提示することで、商品の信頼性や購入意欲を高めることができます。FAQコンテンツを提供することで、顧客に対するサポート体制の充実度をアピールすることもできます。
業界の最新情報
業界の動向やトレンドを紹介することで、自社商品の必要性やタイムリーさを訴求できます。顧客にとっても、最新の情報を提供することで、商品やサービスに関する知識を深めることができ、顧客との信頼関係を築くことができます。
ブログ・コラム記事の紹介
自社の専門知識やノウハウを発信することで、顧客に対する信頼感や親近感を高めることができます。顧客が興味を持ちそうなテーマやトピックスを取り上げることで、顧客の関心を共有することができるでしょう。
カタログ・資料の紹介
自社商品の詳細や特徴を分かりやすく説明することで、顧客に商品についての理解を深めてもらうことができます。商品の魅力をアピールすることで、購入意欲を高めることができます。
展示会・セミナー
告知やレポートをコンテンツとして活用することが効果的です。告知メールでは、イベントの詳細や参加方法を分かりやすく説明し、参加者の関心を引き付けることが重要です。レポートメールでは、イベント内容や参加者の感想を共有することで、イベントに参加できなかった顧客にも情報を届け、商品やサービスに対する理解を深めることができます。
メールマーケティングの注意点
メールマーケティングは、中小企業にとって貴重な顧客獲得手段となっていますが、誤ったアプローチや過剰な宣伝によって、メール受信者にとって迷惑行為になってしまうため注意が必要です。
メールマーケティングにおけるスパム行為への注意点
メールマーケティングは、適切な配信方法と内容で行うことで効果的なマーケティング手段となります。しかし、スパム行為によって逆効果になってしまうこともあります。
受信者の同意や許可を得ずにメールを送信しないこと
受信者からの同意や許可なしにメールを送信することは、スパム行為とされます。例えば、ウェブサイトから自動的に収集したメールアドレスや、購入履歴などから抽出した情報を用いて、勝手にメールを送信することは違法となります。
メールの送信元や件名を偽装しないこと
メールの送信元や件名を偽装することも、スパム行為とされます。メールがいかに有益であろうとも、送信元が偽装されている場合には、受信者から信用を失うことになります。
メールの内容に虚偽や誇大な表現を含めないこと
メールの内容に虚偽や誇大な表現を含めることも、スパム行為になります。例えば、実際には受信者が利用できない特典や割引を大々的にうたうことは、トラブルの元になることがあります。
メールの末尾に配信停止や解除の方法を明記すること
メールの末尾に配信停止や解除の方法を明記することが求められます。受信者が不要と判断した場合に、簡単に配信を停止できるようにすることが求められます。
メールの送信頻度や時間帯に配慮すること
短時間で何通ものメールを送信することは、受信者からのストレスにつながる可能性があります。メールの送信頻度や時間帯に配慮し、適切な送信ペースを確保することが必要です。メールマーケティングを行う業界やターゲットに合わせた配信スケジュールを設定することも大切です。
テスト配信の重要性
メールマーケティングで配信する前に、テスト配信を行いましょう。テスト配信とは、実際の配信前に、配信するメールの内容や配信設定を確認するために、自分自身やチームメンバーなど限られた対象者に送信することです。テスト配信をすることで、実際に配信する前にメールのレイアウトや文章の内容、リンク先などを確認できます。メール配信システムではテスト配信機能でデザインの崩れなどを事前に確認できるものもあります。
さらに、配信後の反応率の向上にもつながることがあります。テスト配信では、スパム判定される可能性があるかどうかも確認することができます。テスト配信でスパム判定される可能性がある箇所を把握し、修正することで、本配信のスパムフィルタに引っかかる可能性を下げることができます。
テスト配信は非常に重要な工程であるため、きちんと実施することが必要です。以下にメールがスパム判定される可能性がある例をいくつかあげておきます。
・送信元のアドレスやドメインが不明瞭
・件名に大量の大文字、感嘆符、疑問符などが使用されている
・内容に虚偽の情報が含まれている
・スパムフィルタに引っかかりやすいフレーズ(例:無料、お得、緊急、お願いなど)が多く含まれている
・本文に多数のリンクが含まれており、それらがスパムサイトにリンクしている可能性がある
・添付ファイルがスパムの拡散やマルウェア感染に関連している可能性がある
・送信元が既知のスパマーとして識別されている
・メールが大量配信されており、スパムとして検出される可能性がある
まとめ
メールマーケティングは、顧客ロイヤルティを向上させるための有効な手段です。この記事では、メールマーケティングの基本的な概念やメリット、顧客ロイヤルティを向上させるための具体的な方法について紹介しました。ただ自社のPRのためにメールを送れば良いというわけではなく、スパム行為にならないよう注意し、テスト配信を行ったうえで実施することが大切です。
メールマーケティングをうまく活用することで顧客とのつながりを強め、ビジネスの成功に近づけるはずです。自社の強みや特徴を上手く伝え、顧客のニーズや要望に応えることで、効果的なメールマーケティングを実践してください。