THE MODEL

THE MODELとは?(4)営業(フィールドセールス)の役割とプロセスを解説!SaaSビジネスで生産性を最大化する方法

SaaS全盛期のいま、サブスクリプション型のビジネスも私たちの生活のあらゆる分野に登場するようになりました。ユーザー側として使い方を理解していても、ビジネスとして生産性を最大化させていくには、従来の営業手法では限界があり、SaaS時代のフレームワークにアップデートが必要です。

そこで、今回は、SaaS・サブスク時代に必須のフレームワークである「THE MODEL」について、その概要や、必要な背景を解説していきます。

実際のビジネスですぐ応用するためのWorkも用意していますので、ご自身のビジネスと照らし合わせながら理解を深めることが出来ます

この記事でわかること

  • THE MODELにおける営業の役割とは?
  • 営業のプロセスは?従来との違い
  • 実際の管理のポイント

営業(フィールドセールス)の役割

営業(フィールドセールス)とは、日本において多くの企業が基本にしている営業スタイルで、インサイドセールスから上がってきた有望リードに対して、営業訪問、商品・サービスの提案、クロージング活動を行う営業手法です。外部に出る営業のため、外勤営業とも言われます。スポーツに例えれば、メンバーから回ってきたパスをゴールに決める役割です。

前工程のインサイドセールスは、時間とコストを抑えた営業活動が可能な反面、相手へのインパクトや説得力がフィールドセールスより弱く、インサイドのみで成約に持ち込むには難しい部分があります。よって、フィールドセールスの顧客との直接対話が必要なのです。

プロセス

レベニューモデルの全体図では「商談」として1つの箱しか表現されていないが、このフェーズの重要度が低いわけではありません。むしろB2Bではこのラストワンマイルの対応で勝負が決まります。そして「商談」というステージの中は、さらに細分化してフェーズ管理を行い、パイプラインやフォーキャスト(予測)の管理を行っていきます。

フェーズ管理

例として掲載しているのは一般的なITソリューションの商材をモデルにしていますが、自社の商材や営業の進め方を研究して、自社に合ったフェーズ設計・管理をしていくのが重要です。

フェーズ1「リード以上、商談未満」

商談のフェーズ管理をする前に、そもそも「何をもって商談と判断するのか」の基準を決めなければなりません。実際訪問してみたら、「自社の製品で対応できる案件ではなかった」、「今期すぐに商談にはならず、まずは予算かできるかの段階だった」、「担当者は検討したいが会社としては検討段階ではない」などの状況はよくあるケースです。

すぐには売上に直結しなくても営業が接点を持ち続ける必要があるものはこのフェーズで管理します。ただし、ここからどのくらい商談につながるかは、かかる時間や確率のばらつきが大きくなるのでパイプラインの計算からは 外しておきましょう。

このフェーズで最も重要なことは、定期的なフォローを漏らさないことです。また、ほとんどの会社は自分たちの課題そのものに 気づいていないので、課題を意識してもらうことがスタートラインなのです。

フェーズ2「ビジネス課題の認識」

購買検討フェーズを表現する時に使われる「不信、不要、不適、不急」の「4つの不」 の中で、ここは「不要」を突破する段階。つまり課題を認識して、この製品やサービス が必要だと理解してもらうフェーズである。営業活動のプロセスの中でも、最も重要なプロセスであると言えます。

この段階に十分な時間を割かずに、顧客からの製品説明の依頼や提案などに対応して先に進もうとする営業は多いです。しかし、この段階を突き詰めていなければ、最終的に経営陣に稟議を上げたところで、「今はこれが重要課題ではない」と止まってしまうのです。

顧客との会話が盛り上がってとんとん拍子で進んだのに、クロージングが弱いという営業は、交渉や詰めが弱いと思われがちだが、実際はこの初期段階の進め方に課題があることの方が多いです。

会社としての課題と自社の提案のミスマッチを防ぐために、以下の図を頭に入れておくとよい。これをもとに提案を組み立てると、論理的で訴求力のある提案になります。

具体的な商談の場面での活用をイメージしてみましょう。

経営課題と解決策がマッチしている

「5年後に売上を倍にしたい企業」との商談。

  • 顧客のビジネス課題:営業プロセスの効率化(営業のキャパシティが足りない)
  • 問題点:営業が一人ひとり独自に顧客管理を行っていて抜け漏れも多く非効率
  • 解決策:顧客情報や営業の進捗を一元管理できるMAの導入
  • 効果:従来顧客管理にかかっていた時間を半分に削減。抜け漏れもなくなり、1人当たりの商談数が3割増加。

経営課題と解決策がミスマッチしている

たとえば「新たな市場の開拓」「顧客内シェアの拡大」という経営上の重点目標があるとします。最初のスライドでは「貴社における課題」とか「プロジェクトの目的」というタイトルできれいにまとめているのだが、肝心の提案になると、突然「KPIを可視化する」「情報共有をリアルタイムに行う」「システムを統合して二重入力などの負荷を軽減」 といった話になっている提案を見受けますが、このような状況に自社の営業は陥っていないかをチェックしていきます。

経営層と現場担当者間の認識のギャップ

決裁段階で経営層から却下されてしまう原因としては、顧客の中でも経営層と担当者間での認識に違いがあることがよくあります。面談相手は現場担当者であるが、担当者は自分の困っていることに意識が行きがちで、経営レベルで考えられている課題と一致しないケースがあるのです。予防策としては、早い段階で経営層に合うことが重要です。

フェーズ3「評価と選定」

コモディティ型の商材は、いきなりこのフェーズからスタートすることも少なくありません。しかし、ソリューション型の商材の場合、この段階で顧客に「商談を進めるだけの価値」を認めてもらわなければならない。顧客は他の選択肢である競合との比較を行う ため、営業はコストだけでなく、自社の強みを活かした提案をすることが求められます。つまり、選定条件を自ら作り出すことが必要なのです。”顧客における”競合他社との状況整理に有効なフレームワークが次の図です。一般論で、「競合他社に対する弊社の優位性はこれです」と言っても、その強みが顧客要件に関係なければ何の意味もありません。右上の「差別化」に入るものを選定条件とするように商談を進められると良いでしょう。

また、企業内で実際にパワーを持っている人と役職は必ずしも連動していないので、キーパーソンの視点で考える必要があります。

フェーズ4「最終交渉と意思決定」

このフェーズの移行判定基準は、正式に稟議プロセスを開始してもらうことです。それぞれの企業の承認プロセスを把握していないと判定が難しいでしょう。

フェーズ5「稟議決裁プロセス」

顧客が稟議決裁の準備を開始したら高い確率で受注に結びつくはずですが、一定の確率で フェーズが後退したり、失注につながることもあります。それを防ぐために、いくつかのチェックポイントを共有します。

  • 最終承認者は誰か

最終承認者は誰かと聞くだけでは不十分。役員が社内プロセス上の承認者だとして も、その役員は部長が決めたものをそのまま承認するのであれば、実質の最終承認 者は部長です。

  • 発注書へサインする人は誰か

最終承認者とは異なる場合が多いです。これを押さえておかないと、せっかく承認が取れても予定の日までに発注が間に合わないことが出てきます。

  • 稟議決裁は電子承認か、紙での回覧か、口頭承認でOKなのか

すべての承認が終わっていたにもかかわらず、発注書に押す印は社長が押すというルールで、社長が出張で1週間不在…などのケースも考えられます。最近はデジタル化が進んでいますが、社内でも部門ごとにルールが異なる場合も考えられるので注意しましょう。

  • 起案者が過去に同じような金額の決裁を通したことがあるか

本人は社内でいくら以内なら誰の承認が必要という規定を理解していても、実際は慣習で別の承認ルートが必要といったことが、申請してはじめて判明することがあります。

予測の管理

売上目標に対しての進捗確認も欠かせません。商談フエーズ管理は、 商談の現状を正しく理解するためのものであり、予測の読みは必ずしもフェーズとは一致しないものです。運用の際は、次のように商談フェーズと予測のカテゴリをマッチングさせ、予測には主観が入っても、フェーズ管理は客観的な判断されなければなりません。

KPIの考え方

受注金額や受注件数など目に見える成果も重要なKPIではあるが、客観的な基準でフェーズ管理できていれば、プロセスに対しても、営業活動が正しく行われているかを確認することが出来ます。

実践例

客観的かつ具体的に進捗状況が見えていると、現状を整理でき、次のアクションも取りやすいです。MAツールを活用して、誰でもいつでも見える状況にしておくことも、リスク回避のために重要です。

まとめ

  • 営業(フィールドセールス)とは、インサイドセールスから上がってきた有望リードに対して、営業訪問、商品・サービスの提案、クロージング活動を行う営業手法
  • 自社の商品やサービスに合わせてフェーズ管理を行うことが大切で、フェーズの定義や移行基準は客観的かつ具体的なものであることが望ましい。
  • 顧客の担当者と経営層での視点や課題感は異なるものとの認識が必要
  • 主観も含めた総合的な予測を考慮しつつ進捗を管理していく。

Work

  1. 自社の営業プロセス、顧客管理の仕方を整理してみましょう。
  2. 自社の商材に合わせたフェーズ・判定基準を考えてみましょう。
  3. 管理している顧客を各フェーズに振り分けてみましょう。
  4. 現在商談中の顧客を例に、顧客の課題と提案している解決策が合っているか確かめてみましょう。

出典:
福田康隆『THE MODEL (MarkeZine BOOKS)マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』翔泳社(2019)

芝先 恵介

芝先 恵介

外資系業務ソフト会社より、仲間4人とともに2002年独立し代表就任。ウェブのシステム開発、広告代理店を始める。2013年同社を売却。 2014年からフリーランスでスタートアップ、大企業の新規事業立ち上げ支援を開始。2016年に訪日外国人×地方創生を行う株式会社トラベルテックラボを大学院の仲間と設立。その他、大学等のマーケティング・経営戦略の非常勤講師や、公益財団法人大阪産業局 あきない経営サポーター、DXアドバイザー、独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業アドバイザー、エンジェル投資家など

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