マーケティングオートメーション

初めてのMAツール|ChatGPTを活用して効果的にHubSpotを運用する

デジタルマーケティングの世界は日々進化し、その運用には専門的な知識や人的リソースが必要とされることも多いです。ただ最近では、自然言語処理のモデルを用いたチャットボット「ChatGPT」の登場によりMAツールを効果的に運用できるようになってきました。

この記事では、技術的な課題に直面している方でも、「HubSpot」と「ChatGPT」を活用して、マーケティング活動を効率化するポイントを紹介します。「ChatGPT」を活用した価値と効果を感じていただき、MAツールの導入の参考にしてください。

HubSpotとは?

HubSpotは、CRM(Customer Relationship Management)ツールやマーケティングオートメーション、セールスプロセス管理、カスタマーサポートツールなど、ビジネスに必要なあらゆる機能を1つに統合したオールインワンのソリューションです。

HubSpotを使うと、ビジネスのあらゆる部分をカバーしてくれるため、顧客との関係を強化し、より効率的なビジネス運営を実現することができます。

HubSpotの主な機能

HubSpotの主な機能の一部を紹介します。

CRM機能

  • コンタクトや会社の情報管理
  • 取引先情報の追跡
  • 顧客とのやり取りの記録管理
  • メールやタスクの自動化
  • チーム共有のためのドキュメント管理
  • セールスとマーケティングの連携強化

MA(マーケティングオートメーション)機能

  • ウェブサイトでのトラッキング
  • メールやSNSの自動化
  • メールやフォームのABテスト
  • フォームやランディングページの作成
  • セグメンテーション(市場の細分化)

セールスツール機能

  • セールスプロセスの視覚化
  • タスクの自動化
  • ドキュメント管理とパーソナライゼーション

サービスハブ機能

  • チケットや問い合わせの管理
  • オムニチャネル(画像・音声・動画・各種メッセージングなど様々なチャネルを一元管理)
  • チャットボットの作成や顧客とのコミュニケーションの改善

レポート・分析機能

  • マーケティングおよびセールスの結果を視覚化
  • カスタムダッシュボードの作成
  • レポートの自動作成と配信

リード管理機能

  • 見込み客(リード)の一元的に管理
  • リードの属性情報や興味関心、行動履歴などを記録
  • リードのステータス(未フォローアップ、フォローアップ中、クローズドなど)の設定

HubSpotを導入することでできること

HubSpotには多様な機能があり、顧客に合わせた戦略を実行することができます。具体的には、以下のような戦略が立てられるようになります。

マーケティング戦略の最適化

HubSpotのマーケティングツールを使うことで、顧客の属性や行動に基づいたターゲティングを行い、リード獲得活動の最適化が可能になります。コンテンツマーケティングにおいて、WEBサイトやコラム記事の作成、広告やSNSを活用したデジタルマーケティングに取り組むことで、より効率的なマーケティング活動を行うことができます。

セールス戦略の強化

HubSpotのセールスツールにより、顧客の属性や行動に基づく商談管理が可能になります。営業担当者はリード情報にアクセスし、商談や取引の進捗を監視することができます。さらに、営業担当者は顧客との接点を自動的に録音して管理することができ、営業活動の効率化が図れます。

カスタマーサポート戦略の改善

HubSpotのカスタマーサポートツールを使用することで、問い合わせや苦情に迅速に対応することができます。各種お問い合わせに対する機能も提供されており、顧客のニーズに対応することができます。

データ分析ツールによる改善策の立案

HubSpotには豊富なデータ分析ツールが備わっており、それらを活用することでマーケティング、セールス、カスタマーサポートの各分野において改善策を立案することができます。これにより、各部署がより戦略的かつ効果的に業務を行うことができます。

MAツール導入における課題

マーケティングオートメーションツールは有効なツールですが、IT知識や適切な人材が不足している企業が導入する際には、運用面で課題を感じる場面が多々あります。

技術的な知識

マーケティングオートメーションツールを最大限に活用するには、一定のITスキルや知識が必要です。これらのツールを設定、管理、最適化するためには、技術的なバックグラウンドを持つ人材が必要となります。

リソース

中小企業では、人員や予算などのリソースが限られているため、新たなツールを導入することが難しい場合があります。また、ツールの導入だけでなく、継続的な維持管理やトレーニングにも時間とコストがかかります。

データの品質と統合

マーケティングオートメーションは、顧客データを中心に機能します。そのため、高品質なデータを持つこと、そしてそれをツールに統合する能力が重要となります。しかし、中小企業では、データの収集や管理、解析に必要な体制が整っていない場合が多いです。

戦略的な視点

マーケティングオートメーションツールは戦略的に使用することが重要です。しかし、適切なマーケティング戦略を立てるための知識や経験を持つ人材が不足している場合、ツールの導入が成功につながらないこともあります。

ツールの選択

市場には多くのマーケティングオートメーションツールが存在します。それぞれのツールは特性や機能が異なり、企業のニーズによって最適なツールは異なります。そのため、自社のビジネスモデルや目標に合ったツールを選ぶことが重要となります。

ChatGPTとは?

ChatGPTは、人工知能の一種で、文章を自動生成することができる技術のことです。GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略であり、事前学習された情報を使用することで、テキストの自動生成が可能になります。ChatGPTは、そのうちの一つで、チャットボットや自動応答システムなどで活用されています。

ChatGPTの特性と機能

ChatGPTとは、オープンAIが開発した自然言語処理技術を用いたモデルの一つです。ChatGPTは、大量の文章データを学習して、人間と自然な会話をすることができます。ChatGPTの特徴としては、膨大なデータを処理することができ、文章のコンテキストを理解した返答をすることができる点が挙げられます。ChatGPTは文章生成や自動応答などの用途に幅広く使われます。具体的な機能としては、コンテンツ生成や自動応答システム、営業活動のサポート、顧客対応の効率化などがあります。ChatGPTの精度は高いとされていますが、その精度は入力や設定によって変わり、不正確なレスポンスを生成することもあります。

ChatGPTのマーケティングでの活用方法

ChatGPTはマーケティング活動を多方面に渡りサポートします。文章生成機能によりブログ記事や商品説明文の作成を容易にし、効率化を図ります。また、自動応答システムとして導入することで、顧客からの問い合わせへの迅速な対応が可能となり、顧客対応の質とスピードを向上します。また、特定のキーワード分析の能力を直接持っているわけではありませんが、大量のキーワード分析を行うことで、自然で精度の高いキーワード選定が可能になります。ChatGPTによる分析結果を元に、ターゲットに合わせた広告キャンペーンの展開も可能となります。

HubSpotとChatGPTを組み合わせるメリット

デジタルマーケティングの世界は複雑で、大量のデータをうまく活用することが求められます。その一助となるのが、「ChatGPT」を活用した「HubSpot」の運用です。これらのツールを組み合わせてうまく活用することにより、効率的なマーケティング施策の立案や実行が可能になり、企業の成長につながる可能性を秘めています。ただし、ChatGPTは万能ではなく、限界や課題についても十分理解が必要です。

効率化されたマーケティング施策の立案と実行

ChatGPTを利用すると、大量のデータを短時間で分析・処理が可能となります。これにより、HubSpot内での施策立案や実行が劇的に効率化されます。例えば、HubSpotのCRMシステムに蓄積された顧客データをChatGPTが分析し、それに基づいた施策を提案します。これにより、手動での分析にかかる時間を削減でき、迅速に施策を立案・実行できます。

顧客対応の効率化と営業活動のサポート

ChatGPTは自動応答システムを容易に実現します。HubSpotのチャット機能に組み込むことで、顧客からの問い合わせに対して適切な回答を即座に提供できます。これにより、顧客対応の効率化が図られ、営業チームの負担も軽減されます。更に、ChatGPTに与える指示内容(プロンプト)を定型化することで、応答の精度を高め顧客満足度の向上にもつながります。

高度なパーソナライゼーションの実現

ChatGPTは個々の顧客に合わせたコンテンツや応答を生成する能力を持ちます。HubSpotのデータと組み合わせることで、従来の手法では困難だった高度なパーソナライゼーションが可能になります。それにより、顧客との接点を増やし、深い関係性を築くことが可能となります。

効率的なコンテンツ生成

ChatGPTの一つの大きな特徴は、文章を自動生成する能力です。例えば、HubSpotのブログ機能を使用して、定期的にブログ記事を投稿する際にも、ChatGPTを活用することで効率的にコンテンツを生成することが可能です。これにより、コンテンツ制作にかかる時間を大幅に削減し、その時間を他の重要な業務に振り向けることができます。

活用における注意点

ただし、ChatGPTは万能ではありませんので、以下のような点に注意が必要です。

  • 2021年9月頃までのデータをもとに回答するため、情報が古い場合がある
  • 情報の真偽を判断できないため、回答内容が間違っていることがある
  • 生成された文章は、人による最終チェックが不可欠

ChatGPTを活用したHubSpotの運用例

HubSpotは、マーケティングや営業、カスタマーサポートの自動化や効率化が可能なオールインワンのプラットフォームです。ChatGPTは、テキスト生成や自然言語処理を用いてさまざまなタスクに対応できるツールであり、HubSpotと組み合わせることで、さらなる効率化や品質向上が期待できます。以下に、HubSpotでChatGPTを活用する方法をいくつか紹介します。

ブログ記事やSNS投稿の生成

ChatGPTを用いて、HubSpotに投稿するためのブログ記事やSNS投稿の自動生成を行うことが可能です。従来まで手動で行っていた記事の作成やキャプションの作成に費やしていた時間を節約できます。また、ChatGPTの精度を高めるために、HubSpotに蓄積されたデータを学習させることもできます。

カスタマーサポートにおけるチャットボットの導入

HubSpotのチャットボット機能とChatGPTを組み合わせることで、より高度なカスタマーサポートが実現可能です。ChatGPTは、顧客からの一般的な問い合わせに対して適切な回答を生成する能力を持ちます。想定される顧客からの質問とそれに対する回答リストを生成することも可能です。これにより、チャットボットを通じたカスタマーサポートの精度と効率が向上します。

メールテンプレートの自動生成

HubSpotを利用している場合、営業活動では特にメールのやりとりが多くなる傾向があります。その際に、ChatGPTを用いてメールの作成を行うことで、営業担当者が簡単・迅速にメールを作成することができるようになります。ChatGPTを使ってHubSpotに登録するメールテンプレートを生成することで、返信率を高めることができます。

HubSpot(MAツール)の導入手順

最後に、HubSpotの一般的な導入手順を確認しておきましょう。

アカウント作成

HubSpotのWebサイトにアクセスし、アカウントを作成します。アカウント作成には、メールアドレスとパスワードが必要です。無料版を利用する場合は、クレジットカード情報の登録は不要です。アカウント作成後、HubSpotのダッシュボードにログインすることができます。

プロファイル設定

アカウント作成後、プロファイル設定を行います。この際に、企業名や業種などの情報を入力します。プロファイル設定は後から変更することもできます。

データ移行

既存のCRMツールやExcelファイルからデータを移行する場合は、HubSpotが提供するデータ移行ツールを利用します。データ移行には専門知識が必要な場合もあるため、HubSpotの専門家に相談することがおすすめです。また、データ移行前にデータの整理やクリーンアップを行うことで、より正確な情報を取り込むことができます。

カスタマイズ

HubSpotでは、自社に合わせたカスタマイズが可能です。例えば、リード獲得フォームやメールテンプレートなどを作成することができます。また、HubSpot Marketplaceから有料・無料のテンプレートやアドオンをダウンロードして利用することもできます。カスタマイズには、マーケティングやデザインの知識が必要な場合もあるため、専門家に相談することがおすすめです。

トレーニング

HubSpotでは、トレーニング動画や認定資格の取得が可能です。これにより、HubSpotの使い方をより効果的に学ぶことができます。トレーニング動画は、HubSpot Academyで提供されており、無料で視聴することができます。トレーニングを受けることで、CRMの活用方法やマーケティング戦略の構築方法などを学ぶことができます。

まとめ

デジタルマーケティングの導入と運用は、リソースにゆとりの無い企業にとって大きな課題です。マーケティングオートメーションツールの多くは専門的な知識と顧客ごとに合わせた情報を準備する必要があります。しかし、HubSpotとChatGPTを活用することで、各データの整理やターゲットに合わせたコンテンツの生成、営業資料の作成など、マーケティング活動の効率化を図ることができます。HubSpot・ChatGPTともに無料から利用することが可能ですので、ぜひ一度、実際にツールに触れてその価値を実感ください。

芝先 恵介

芝先 恵介

外資系業務ソフト会社より、仲間4人とともに2002年独立し代表就任。ウェブのシステム開発、広告代理店を始める。2013年同社を売却。 2014年からフリーランスでスタートアップ、大企業の新規事業立ち上げ支援を開始。2016年に訪日外国人×地方創生を行う株式会社トラベルテックラボを大学院の仲間と設立。その他、大学等のマーケティング・経営戦略の非常勤講師や、公益財団法人大阪産業局 あきない経営サポーター、DXアドバイザー、独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業アドバイザー、エンジェル投資家など

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