株式会社オキサイド様では、生成AIツールを導入していたものの、活用が個人レベルに留まり、組織的な業務改革には繋がっていないという課題を抱えていました。そこで今回、全社的な機運醸成と次世代リーダーの発掘をテーマにした研修を設計・実施。部門や世代を超えた対話と実践的なワークショップを開催いたしました。
サマリー
- 「個人のツール」から「組織の力」へ:活用が限定的だった状態から、全社的な業務改善の議論へと発展。
- 世代・部門を超えた共創:ベテランの暗黙知と若手のAI活用力を掛け合わせたチーム編成で、実効性の高いアイデアを創出。
- 推進体制の確立:研修を機に「生成AI業務改善ワーキンググループ」が結成され、経営層の承認のもと継続的な活動へ移行。
会社概要
- 会社名:株式会社オキサイド
- 業種:製造業(光学関連製品の開発・製造)
- 導入背景:生成AIツールは導入済みだったが、議事録作成などの限定的な利用に留まっていた。研究開発型企業として膨大な情報収集・調査業務の効率化や社内データの有効活用が急務であり、組織としてAI活用を推進する体制づくりが求められていた。
インタビュー①
生成AI活用の”個人最適”から、組織での体系活用へ
- ■事業概要と導入前の課題を教えてください。
<竹内様>
当社は研究開発型の企業で、光学関連製品の材料となる単結晶などを開発・製造しています。業界の上流に位置しているため適用範囲が広く、最新の技術情報や論文、ホワイトペーパーなどを調べて市場を分析することが業務の中で非常に多いです。導入前の課題としては、AI活用が「分散的」だったことです。以前から導入は進んでいましたが、使い方が完全に個人に委ねられていました。「議事録を直す」「文章を直す」といった限定的な使い方に留まっていて、局所的に一部の方が業務改善を進めている状態でした。「全社でどう活用するか」「導入したAIをどう活かすか」という議論がほとんどなされていなかったのが実情です。
また、情報収集の面でも、毎回高額なレポートを買うわけにはいかない一方で、自力で調べるには情報量が多すぎるという悩みがありました。こうした情報を簡易に、かつタイムリーに把握する方法としてAIをもっと活用したい、本質的な業務改善や改革に繋げたいと考えていました。
- ■01STARTを選んだ決め手は?
<竹内様>
大きく3つの理由があったのですが、一番の決め手は、講師の芝先さんが「AIを使った事業創出」に知見をお持ちだったことです。
単に業務改善をするだけでなく、「AI×事業×事業創出」という領域で、芝先さんご自身が事業アイデアや計画作成にAIを活用されている実践者であることを存じ上げていました。私たちも業務改善の先にある「事業創出」を目指しているので、その辺りの肌感覚を持たれている方にお願いするのが一番いいと考えました。

オキサイドご担当者のみなさま
全社横断・世代混合チームで挑む”MFTフレームワーク”実践研修
研修は全3回で構成されました。Day1では全社向けに基礎知識とプロンプトエンジニアリングをインプットし、AIへの心理的ハードルを低減。Day2からは参加者によるグループワーク形式で開催。MFT(市場・機能・技術)フレームワーク等を用いて、自社の業務課題をAIでどう解決するかを具体的に検討しました。
特に評価されたのは「部門・世代間の連携」です。ベテラン社員が持つ「現場の深い課題感(暗黙知)」を、若手社員が「AIという技術」を使って解決策として実装する。この化学反応を意図的に起こすチーム編成により、単なる勉強会を超えた実践的な取り組みになりました。
インタビュー②
全社の意識と行動の変化、情報共有の活性化と活用頻度の向上
- ■研修後にどんな変化がありましたか?
<石田様>
一番良かった点は、グループワークでの発表を通じて「他の部署がどんなことを考えているのか」が分かったことです。世の中でよく紹介されているような一般的な活用法以外のアイデアが社内から結構出てきました。こうしたアイデア交換を続けていくことで、連鎖的に新しいアイデアが生まれる予感があります。<竹内様>
ベテランと若手の混合チームを作ったのがすごく良かったと思っています。ベテランエンジニアが長年蓄積してきたノウハウや暗黙知を、今後若手にどう継承するかは長期的な課題です。研修では、ベテランが考えていることを、若手がAIを使って実装するという動きの一端が見えました。これは今後のオキサイドにとって、非常に良い動きになると思います。<佐久間様>
これまでは「こんな機能があったらいいな」と思っても、どう実現すればいいかわからず、日々の業務に追われていました。しかし研修を受けて、「AIを使えばこんなこともできるんじゃないか」と考え方が大きく変わりました。企画部門などは既にAIを使えていると思っていましたが、研修を受けて「まだまだ活用できていなかった」と気づけたことも大きかったです。- ■経営層の反応と今後の展望は?
<竹内様>
経営層も非常にポジティブに捉えています。「議事録や資料作成だけでなく、こんな使い方もできるのか」と可能性を感じてもらえましたし、何より、若手メンバーが中心となって推進していくことに対して、全員が賛同してくれています。
今後は、研修で生まれたアイデアの中から、まずは「議事録の統一フォーマット化」や「ナレッジシェアリング」など、全社員が恩恵を受けやすい領域から実装を進めます。その上で、将来的には論文や技術情報を活用した「社内用チャットボット」の構築や「技術者の暗黙知の継承」といった、より難易度の高い本質的な課題にも取り組んでいきたいと考えています。
担当講師コメント
株式会社01START 代表取締役 芝先恵介
今回のオキサイド様での研修は、AI導入が「個人のスキルアップ」を超えて「組織開発」につながった好事例です。
特に印象的だったのは、経営層の皆様が新しい取り組みに対して非常に前向きであり、失敗を恐れずに「まずはやってみよう」という風土があったことです。また、事務局の方々が「単なる研修で終わらせず、ここからリーダーを発掘するんだ」という強い意志を持って運営されていたことが、ワーキンググループ結成という大きな成果に結びつきました。
「ベテランの課題感」と「若手の柔軟性」をAIが繋ぐ。この成功パターンは、多くの企業様にとって大きなヒントになるはずです。
導入のポイント
- 現状の徹底分析:「導入済みだが活用は局所的」という現状を踏まえ、操作説明ではなく「活用リーダーの発掘」に研修の目的を定めた。
- 世代間コラボレーション:ベテランと若手を意図的に組み合わせ、組織内の暗黙知をAIで形式知化するプロセスを設計した。
- 出口戦略の明確化:研修をゴールとせず、その後の「ワーキンググループ結成」を見据えて、経営層への報告・承認プロセスまでを設計に組み込んだ。
導入前後の変化
| Before | After | |
|---|---|---|
| 活用状況 | 個人の判断に委ねられ、用途も議事録修正などに限定 | 全社横断のワーキンググループが発足し、組織的な活用へ |
| 社内連携 | AI活用に関する部署間の議論や共有がほとんどない | 部門・世代を超えた混合チームで、業務課題と解決策を共有 |
| 意識変革 | 「便利そうだが使い方がわからない」「業務に追われている」 | 「AIで解決できるかもしれない」というマインドセットへ転換 |