大企業向けの新規事業開発に特化するアーキタイプ株式会社様では、生成AI活用の“個人差”が組織全体の推進力を弱めていました。01STARTは、Customer Problem Fit(CPF)に焦点を当てた体系的な研修を設計・実施し、フレームワークとプロンプトを軸に全社的な意識変革と活用頻度の向上を後押ししました。
サマリー
- 生成AI活用の社内スキル格差を解消し、個人活用から“組織での体系活用”へ転換。
- CPFに特化した研修で、リーンキャンバス/共感マップ等のフレームワーク×プロンプトを実装。
- Slackでの情報共有活性化、経営レベルの目標設定、活用頻度の向上など全社変革が進展。
会社概要
- 会社名:アーキタイプ株式会社
- 業種:コンサルティング
- 導入背景:生成AI活用のスキル格差を是正し、個人依存から組織的活用へ。特に新規事業のCustomer Problem Fit(課題発見)での実践手法を確立。

インタビュー①
生成AI活用の“個人最適”から、組織での体系活用へ
- ■事業概要を教えてください。
<由井様>
弊社は、大企業を対象とした新規事業開発に特化しているコンサルティング会社です。社員数は13名ほどで、部門ごとの明確な区分けは設けておらず、全員がコンサルティング業務に携わっています。クライアント企業の新規事業開発に並走しながら支援することが、主な業務内容です。- ■研修導入前の生成AI活用状況は?
<一柳様>
社員のAI活用レベルには、大きなばらつきがありました。よく使いこなしているのは、13名いる社員のうち上位2〜3名で、自分でプロンプトを組み立て、たとえば毎日自分の気になるジャンルのニュースを自動で集めるなど、単なる検索以上の使い方をしていました。中間層の5〜6名は、自分の考えを整理したり深めたりするための「壁打ち」相手として使っている程度でした。一方、あまり活用できていなかった2〜3名は、知らない言葉を調べるといった限定的な使い方にとどまっていました。<由井様>
メンバー全員が生成AI自体には触れてはいたものの、本当に有効に使えているのかどうかは見えづらい状況でした。現場では、その場その場で疑問に思ったことを質問する程度の使い方が中心で、もう少し業務に結びつく、効果的な活用の方法がないかという課題を感じていました。
01STARTを選んだ決め手
- ■01STARTの研修を選ばれた理由は?
<由井様>
大きく2つの理由があります。1つ目は、芝先さんご自身がこの領域のプロフェッショナルであり、新規事業という分野における生成AI活用について高い専門性をお持ちだったことです。2つ目は、「新規事業でAIを具体的にどう使うのか」という点について、活用方法が非常に体系的に整理されていたことです。社内では「AIは使っているものの、新規事業のどの場面でどう活かせるのか」が、正直あまりイメージできていませんでした。その部分を詳しく、かつ体系立てて整理されていたことが、研修をお願いする決め手になりました。
Customer Problem Fitに特化した“フレームワーク×プロンプト”研修
研修は「AI駆動の新規事業(CPF)」をテーマに実施。前半は生成AI活用の全体像から、アイディエーション〜CPFまでを俯瞰し、リーンキャンバス/フライホイール/ペルソナ/共感マップ/カスタマージャーニーを実践。後半は課題の構造化、ジャベリンボード、プロブレムインタビュー設計、KJ法による分析へ。各フェーズに対応するプロンプトが用意され、現場で再現可能な設計としました。「どの場面で、どのフレームワークを、どんな目的で使うか」が明確であり、必要なプロンプトも揃っているため、迷わず実務に落とし込めたと評価いただきました。
インタビュー②
全社の意識と行動の変化、情報共有の活性化と活用頻度の向上
- ■研修後にどんな変化がありましたか?
<由井様>
研修後は、社内で生成AIの活用についての議論が活発になりました。Slack上に専用チャンネルが立ち上がり、そこで関連する情報を共有するようになるなど、社内での情報交換が進んだと思います。全体として、生成AIに対する意識がかなり変わったと感じています。<一柳様>
経営層からも、「下半期の目標として、業務改善に限らず、今後AIを活用して何に取り組むのかを、それぞれ半年間の目標として設定してほしい」という指示が出ました。社長からこのように、AI活用を前提とした目標設定が明確に求められたのは初めてで、社内でも大きな変化として受け止められました。- ■研修で特に印象に残ったことは?
<由井様>
全体の流れが構造的に整理されていた点が、とても助かりました。フィットジャーニーのような大きなプロセス自体は社内でも把握していたのですが、その中で具体的に何を行うのか、どのフレームワークをどの場面で使うのかまでは整理しきれていませんでした。研修では、「このフェーズではこのフレームワークを、こういう目的で使う」といったレベルまで整理されており、それに対応したプロンプトもあらかじめ用意されていました。このおかげで、今直面している課題に向き合うときに、「どうしようか」と迷ったら、すぐに「あのフレームワークが使える、プロンプトもあるから試してみよう」と考えられるようになりました。そうした形で実務にすぐ持ち込めている点は、とても助かっています。- ■活用の量とスピードへの影響は?
<一柳様>
使い方そのものは、大きくは変わっていないかもしれません。ただ、利用する頻度は確実に上がったと思います。AIを使うだけで、短時間でこれだけ多くの情報が得られるということを改めて実感したこと、そしてそれを会社として費用をかけて学んだことが、日常的に使うきっかけになりました。
研修で特に感謝しているのは、会社全体として危機感を持てるようになったことです。これまでは、自分たちの経験に基づいてアイデアをクライアントに伝えることに大きな価値があると考えていましたが、その価値が大きく下がってきていることを自覚できました。今後は、生成AIのアウトプットを踏まえたうえで何を語るのか、その部分に自分たちの価値を移していかなければならない、という認識にモードが切り替わりました。AIときちんと向き合う会社になっていくきっかけをいただけたことに、とても感謝しています。
クライアント協働の理想像:双方がAIで“事前壁打ち”
■クライアント支援スタイルの変化は?
<由井様>
理想としては、クライアントの皆様にも全員、生成AIを活用して事前にある程度「壁打ち」をしてきていただきたいと考えています。クライアント側がAIで整理した内容を踏まえて私たちと対話し、こちらも同様に事前にAIを使って壁打ちしたうえで議論する、という形が望ましいと思っています。そのためにも、まずは私たち自身がもっと生成AIを使いこなせるようになる必要があります。現在は、AIを用いた社内での実証実験を進めていこうという話が出ており、具体的に取り組みを進めているところです。
<一柳様>
もともと私は、クライアントにも事前にAIで検討してきてほしいという話をするようにしていました。研修を受けたあと、「これはクライアント側にも取り組んでもらわないといけないことだよね」と社内で改めて発言したこともあり、今後ますます、クライアントへの支援のなかでも生成AIの活用が進んでいくと考えています。
担当講師コメント
今回のアーキタイプ様での研修は、組織内でのAI活用格差という現代的な課題に正面から取り組む機会となりました。単にツールの使い方を教えるだけでなく、新規事業開発という同社の中核業務にAIをどう組み込むかという実践的なアプローチを重視しました。
特に印象的だったのは、参加者の皆様が研修中に見せた「気づき」の瞬間です。従来の経験則に基づくコンサルティングから、AIを活用した体系的なアプローチへの転換の必要性を、体験を通じて理解いただけたことが何より嬉しく思います。
導入のポイント
- “CPFに効く”粒度で設計:課題発見フェーズに直結するフレームワーク群を厳選し、再現可能なプロンプトを標準装備。
- 個人差を埋める共通言語:「いつ・何を・どう使うか」を明文化し、思考プロセスの共通化を促進。
- 経営コミット+場づくり:Slackでの知見流通と目標設定で、学びを行動に接続。
導入前後の変化
| Before | After |
|---|---|
| 個人ごとに使い方がバラバラ(検索/壁打ち/未活用層) | フレームワーク×プロンプトで標準化、活用頻度が上昇 |
| “ときどき使う”スポット活用 | 業務プロセスに組み込み、レビュー速度と量を両立 |
| 現場中心の試行錯誤 | 経営の目標設定+Slackで知見循環、全社推進体制へ |